匂いの記憶
ある匂いをかいだことにより、過去の記憶が鮮明によみがえることってありますね。花などの植物、食べ物、空気の匂いなど、何かをきっかけに子供の頃のこと、おばあちゃん家や学校のどこか、旅行先などを思い出し、一瞬感傷的になったりすることがあります。
これは、脳内で嗅覚と記憶をつかさどる部分は近く、他の感覚よりも強く記憶や感情と結びつくからだそうです。
であれば、その人自身の匂いというのも、その人の一部として誰かの記憶に残ることは十分考えられますし、さらにその人から香る匂いによって、その人の好みや生活までをイメージしてしまうこともあり、気を抜けないところです。
以前、ランニング中の強面でたくましい肉体の男性とすれ違ったことがありました。
サングラスをかけたいかにも怖そうな人で、私は邪魔にならないよう歩道の端によけたのですが、すれ違いざまその人からは、意外にも柔軟剤のダウニーの香りがしました。
その途端、男性の背景には温かい家庭があるように思え、また独身だったとしても、この屈強な体でダウニーで洗濯しているのかと思ったら、怖さも吹っ飛び微笑ましく感じたのでした。
それからは、柔軟剤ダウニーの匂いをかぐとその人を思い出します。
自分の装いからどんなイメージをもたれるかは常に気にする一方、匂いまでにはなかなか考えが及ばないものですが、ふわっと匂いを感じるというのは対面ならでは。
これからどんどん暖かく、暑くなっていきます。
汗や生乾きの臭いが記憶に残るなんてあまりにも残念ですが、香水つけすぎにも注意して、お見合いの場でもその後の記憶にも、さわやかな印象を残したいものです。